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なんとか変態寮長の部屋から脱した俺は歩きながら先程もらったカードキーを取り出して部屋を確認する。
「ええっと…8、801号室、か」
一桁目が階数を表しているようで、俺の部屋は8階のようだ。
エレベーター横の階層図を確認するとどうやら12階まであるらしい。
「へえ~、大浴場なんてあるのかぁ。いいな~」
他にもざっと見ただけで購買や談話室なんかもある。
うーんそのうちゆっくり探検してみたいな。
「随分と大きな独り言だな」
「うわっ!?」
くつくつと笑う声が背後でしたため振り返るとものすごい男前がいた。
近くに人がいた驚きとあんまりにも整っている顔立ちにダブルの衝撃に大きな声を出してしまったが、その人は特に気にした様子もなくエレベーターを呼ぶボタンを押した。
「大浴場は毎日22時まで自由解放されてるからいつでも行ってみるといいさ」
「は、はい。ありがとうございます」
その人は綺麗な黒髪を揺らして愉快そうに笑った。
今日は日曜日なのに制服を着込んでいるがもしかしたらなにか委員会や部活だったのかもしれない。
そして到着したエレベーターにその人が乗るのかと思いきやボタンを押して俺に乗るように促してくる。
会釈して先に乗らしてもらうがその人が続いて乗ってくる様子はなかった。
「あれ、乗らないんですか?」
「俺は今から学校。通りかかったらずっとこれ眺めてるから迷子になってるのかと思ってな」
「えっ ごめんなさい!」
地図を指さすその人に慌てて謝罪する。
わざわざ来てくれるなんていい人だ…
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