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「なんで俺って決めつけるんだ。……まあ、天帝が言ったのは俺かもしれないが……」
「ふうん……。あなたのお耳はどうしてちょっと大きいんですか?」
「ああ? これは前に俺が修行させてもらった師匠が猿の神獣でな、その秘術を受け継いだらなんかこうなった。あんまジロジロ見んなよ」
「見るなって言う割にはピアスまでついてるし、主張してる……」
「別にいいだろ、俺のセンスにケチつけんな。……って、おい、最初の二つくらいしか俺が天帝の命を受けてるって確認に必要ないんじゃないか?」
「えへへ……バレました? だって聞きたかったから」
ワナワナと男が小刻みに震えながら、ゆっくり目を閉じる。
「えっと、じゃあ最後の質問……」
「まだあるのか!」
カッと目を見開かれても、なぜだかもうあまり怖くない。
「お名前は? なんて呼べばいいんですか」
リーファが小首をかしげて覗きこむと、男は少しだけ瞳を曇らせた。
「…………烈」
「レツ……さん?」
ふいに、リーファの中でトクンと何かが小さく音を立てた。
それはほんの一瞬で、まばたきする間に胸の奥底に霞むように消えていく。
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