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黒板をなぞるチョークの音が響くだけの静寂の中、授業が終わるチャイムが鳴り響いた。
「起立、礼」
「はい、じゃあこのまま帰りのホームルームに突入しまーす」
日直の掛け声で椅子をガタガタ引いて立ち上がって頭を下げ、担任の言葉で再び椅子に着席する騒がしい音。
「明日は、当初の予定通り全国学力・学習状況調査と言う名のテストです。肩ひじ張ることはないけど、俺が恥ずかしい想いにだけはさせないような点数を取るよう心掛けてくれ」
教壇に立つのは、6限目の国語の教科担当でもあり、私、相沢満月(みづき)が在籍する2年A組の担任、唐木慎吾先生。
「はい、連絡事項はここまで。日直!」
「起立、礼」
『礼』と言った時には、自分のカバンを手に持つ人続出。私が顔を上げた時には、すでに扉の方に体が向いている生徒が数人いた。
「ああ、相沢。井芹先生が、ご用があるそうだから帰りに寄ってくださいとの事だ」
授業初めに集めさせた課題のノートを揃えながら私に言う唐木先生に
「わかりました。失礼します」
肩に背負ったカバンを下ろし、頭を下げて教室を出た。
その後を追うように数人の女子生徒が教室を出たのも気が付いていた。
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