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甘く香るバラの花に囲まれた庭の中で
新郎新婦を囲むように穏やかに宴は進んでいく。
兄弟に囲まれて笑顔を見せる木崎を見つめる。
白い肌が陽を受けて光を纏うみたいにぼんやりと輝いて見える。
「初見、一緒に撮ろう」
木崎の兄弟と羽山が並ぶ中で木崎が俺に手招きをする。
一度は首を振ったが、姉に指示されたように弟が俺の元まで走ってきた。
胸が一杯になる想いで、羽山と木崎の隣に並んだ。
珍しく穏やかな顔をしたと自分でも思う。
「初見、これ」
木崎が俺に差し出したものはブーケだった。
「……え?」
「初見に受け取って貰えると嬉しいなと」
「普通独身の友達なんじゃない?」
と、周りを見てもほとんどが親戚だし、結婚が決まっていたり結婚している人しかいないようだった。
「仕方ない、貰ってやるか」
「ありがとう」
「もし俺が、結婚するような事があったら
友人代表として俺の事褒めまくれよ」
「私がそんな事しなくても、初見には褒めてくれる友達いるじゃない」
肩を竦めて木崎が笑う。
「私からも連絡するけど、高瀬先生に電報ありがとうって伝えて」
「分かった」
本当に今日は心地よいいい日だ。
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