最終話

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溢れる笑顔の参列者を見送って控え室に戻って来た。 「先輩?」 鏡の前で佇む彼女に声をかける。 「脱いじゃうのが勿体無いね」 先輩が寂しそうに眉を下げて笑った。 「本当に、出来たらそのまま連れて帰りたい」 先輩の後ろに立って彼女を抱きしめる。 首の後ろに唇を押し当てた。 「理央」 震えるような先輩の声が可愛くて、そのまま数回耳の後ろまでキスをした。 「理央」 ちょっと強めに声を出す。 身を屈めてこちらに抗議する目を向ける。 そんな彼女が可愛いくて仕方ない。 「着替えましょうか」 帰りのタクシーの中、疲れてしまったのか肩にもたれて眠りに落ちた先輩の右手を優しく包んだ。 爪は淡いピンク色をして、所々にきらきらしたものがついている。 友達の山館さんにやってもらったと喜んでいたな。 こんな風に自分が好きな人と人生を歩むなんて思っていなかった。 貴方が受け入れてくれた時、本当に嬉しくて 涙が滲んできてしまったんです。 この傍らの熱がずっと変わらず続きますように。 流れる夜の景色を見つめて 静かに目を閉じた。 ささめごとEND
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