私色に、染めろ

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「おはよう!」 ある日、教室に入るとクラス全員から無視された。 その現実に直面して、私の足はドアの前にはり付いて前へ踏み出せない。 どうして? いつ、どこで私はしくじった? 昨日だって、『ハイビーム33』なんてつまらない若手芸人のモノマネをみんなで一緒にして。 『君と私の春物語』、通称『キミハル』なんて内容の薄っぺらい人気マンガの話をして盛り上がって。 流行りに乗った、明るくて話しやすい子を完璧に演じてきた。 ハブられる理由が見つからない。 リズムの刻みを速めていく心臓とは裏腹に、私の脳は冷静に、先へ先へと想像を進める。 ここから居場所を失ったら、どこに行けばいいのだろう。 休み時間は? 移動教室は? お昼は? 体育でペアを作る時は? 修学旅行の班分けは? 教室という狭い世界のどこに逃げ場があろうか。
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