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息が切れるのも構わない。教室の後ろのドアを叩きつけるように開けて、彼の名前を叫ぶ。
「陽向くん!」
私の目には、窓際の後ろから2番目の席しか映っていない。
座ったまま体を捻じって、驚いたように私を見つめる彼しか。
きっと、陽向くんには半透明に見えていた理由は、彼に振り向いてほしいという淡い願いがあったからなんだ。
「私…ちゃんと素を出すから!」
淡い願いよ、色となれ。
「本当は『マッスル高木』が一番好きだってことも言う!」
震える声を精一杯絞り出す。
「『キミハル』が好きじゃないくせに、適当に話を合わせてることも言う!」
今までにないくらい心臓がバクバクいって、苦しい。けど最後まで言い切るまでは止まるもんか。
「下の名前で呼ばれたいってことも言うから、だから、嫌わないで…」
勢いで全て言え。言ってしまえ。
「私、陽向くんが…好き。」
たどたどしい告白。だけど、これが正真正銘私の色だ。
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