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しばらく、本当に時が止まったかと思った。
ひと瞬きの後、陽向くんしか見えていなかった世界はいつもの昼休みの教室の光景に戻った。
違和感の原因は、誰の視線を辿ってみても行き着く先には私がいること。
「原ちゃん休みじゃなくて遅刻だっけ?」
「え、いきなりの衝撃発言についていけないわ。」
…あれ、何で他の人にも私が見えているの!?
体を見下ろしてみても両手を目の前にかざしても、透明か透明じゃないかなんて自分では分からない。
けど、素をさらけ出した時点で透明じゃなくなっていたのかもしれない。なんとなくそう思った。
「ていうか、『キミハル』嫌いだったんだ。」
「なんか裏切られた感じ。ショックー。」
普段一緒に行動している子の声が、毒々しい色となり容赦なく心臓を目がけてぶちまけられる。
それに耐えられるほど強くはなくて。唇を噛みしめて俯いた。
ひとりは、怖い。
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