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その後、流木で股間を隠しつつ、全裸に靴下姿で街をさまよった俺は、警察に追われ、一般人に追われ、犬に追われ、救急車に追われ、ギャルズに追われ、街中を走り回り、袋小路の細い路地裏に逃げ込んだ。
雑然と散らばった生ゴミ。
ひっくり返ったポリバケツ。
逃げ場のない状況の中、苦し紛れにポリバケツに身を隠し、俺は神に祈った。
ばれませんようにばれませんようにばれませんようにばれませんようにばれませんようにばれませんように・・・。
外から聞こえてくる大勢の声。
どこいった?
こっちだ!
この路地裏に逃げ込んだぞっ!
捕まえろっ!
変態変質者めっ!
「どこのどいつか知らないけどっ!ギャルの敵よっ!
警察に突き出してやるっ!」
最後の声が耳に飛び込んだ時、俺は神を呪った。
聞き間違えるはずもない、愛娘の声。
迫り来る足音。
悪夢すぎる。
変態変質者の正体が父でしたって親子両サイドに悪夢すぎる。
だが今の俺の出で立ちは完全無欠なパーフェクト変態メェン。股間に流木を挟んだ靴下一つの裸族。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
頼む頼むからせめて娘が娘に発見されるのだけは勘弁してくれ!神様!神様!
足音がポリバケツの前で止まる。
ゆっくりと持ち上げられるバケツの蓋。
心の底からの願い。
魂を捧げるような祈り。
誰か・・・俺をこの世から消してくれ・・・
かぱっ。
「・・・あれ?いないわね。確かあの汚い尻、ここに入っていったように見えたんだけど。」
そう。そうして俺は透明人間になっていたのだった。
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