第1章

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立花譲(ゆずる)18才。 今日は18年間生きてきた中で最も最低な日だ。 2月14日バレンタインデー。 今日のこの時間のこの星空の下でうかれたやつがどれでけいるだろう。 今、目の前で5年越しの片想いの彼女が恋を成就させようとしている。 僕ではない男と・・・。 彼女のそばにいたくて、嫌われたくなくて断れずに今日こんな場所についてきた僕は腰抜け野郎だ。 「受け取ってもらえるかな?」 「絶対大丈夫だよ!かなに好きだって言われて断るやつなんて絶対いねーよ!でも俺さ、ここにいちゃあいくらなんでもまずくない?もうそろそろくるんだろ?かなの好きなやつ。俺、あそこのかげからみてるよ。」 「もう、きてるの。」 「えっ!どこ?」僕はあたりを見回した。早くかくれなきゃやばい。・・・でもそれらしきやつは見当たらない。 「譲が好き。ずっと、ずっと前から・・・。」 「・・・・・・。」 「かなに好きだって言われて断るやつなんていないんでしょ?受け取ってくれるよね?」 「うん・・・・・。」 かなが差し出したチョコを気の利いた言葉ひとつ言えずに僕は受けとった。 この18年間の人生で最高の日に・・・。
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