第一章

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あたしのお父さんはあたしの名前に、海を飛ぶ鳥のように自由な人生を歩んでほしい、って願いを込めたんだって。ちゃんと覚えてるよ。小学校2年生のときに学校の授業のために聞きに行ったら教えてくれたの。お母さんは最近まで知らなかったよ。 あたしに自由、を願ったあたしの父はぜんぜん自由じゃなかったの、も、覚えてる。最後会ったとき、とんでもなく沈んだ顔をしていた。それから更新されないから、一生懸命優しいお父さんの顔を思い出してる。テストで合格点出したときと、車をいじってるお父さんを手伝ったとき。優しい人だったよ。 そんな名前をもらってそんな人に育てられてそんな人を捨てたあたしが、空の色の名前を使って電子の海の中で自由な顔をして不自由に文字を打ってる。 乱れる文。2016年2月9日午後5時45分
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