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第十三章 #2
低い声が耳元で囁く。
言い終わるか終わらないかのタイミングで、クチュ……卑猥な音をたてながら、彼の舌先が耳の内側を舐める。
同時進行で太ももの内側を支えられ……、全身にゾクゾクとした痺れが走った。
「藤真っ……、待ってっ……待ってよ……」
コロンっと簡単に仰向けにされた私は、熱に犯されたように火照る藤真の瞳を正面に捉えた瞬間……、息を飲んだ。
私を見下ろすその表情が……
以前とは違って見えたから……。
頭の後ろに回された彼の手のひら。私の髪に指を絡ませたまま、その距離をゆっくりと近付ける。
だって……、
こんなの……まるで……
「……ま、待ってって……言ってるでしょ!?」
「っ……!?」
唇が重なる寸前の所で、彼の口を両手で覆う。
藤真は思ってもみなかった事態だったのか、その目を真ん丸と見開いた。
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