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合格が決まったその日、俺は嬉しさのあまり、高校に報告に行った足で、そのままライブハウスに向かってた。
まだ準備中だったけれど、さっさと中に入ってすぐに奏多さんを見つけた。
「奏多さん、受かりました!」
俺の報告に、一瞬目を見開いたかと思ったら、優しく微笑んだ。
「おめ・・・」
「おめでとう!!!!」
俺と奏多さんの間に割って入ってきたのは、なぜかマナトだった。
俺には奏多さんしか目に入ってなかったから、奏多さんの背後にマナトがいたなんて気づかなかった。
「なに、なに、どこの大学?」
俺にへばりついてくるマナトは、まるで興奮している小型犬のようだけど、今の俺は奏多さんと話をしたい。
呆れ気味にマナトを見ていたのは俺だけではなく、奏多さんも同様で、顔を見合わせて苦笑いしてしまった。
「K大ですよ。」
「なんだよ、うちの大学、受けなかったのかよ。」
そんながっかりした顔をされてもな・・・。
久しぶりに会ったマナトが、すっかり妖艶さを潜めているのが不思議だった。
でも、それはマナトのバンドメンバーの中の一人からの、俺への鋭い視線で見当がついた。
・・・恋人ができたってことかな。
俺がこいつのターゲットになってなければいい話なので、少しだけ警戒する気持ちが薄らいだ。
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