エピローグ

3/4
203人が本棚に入れています
本棚に追加
/74ページ
合格が決まったその日、俺は嬉しさのあまり、高校に報告に行った足で、そのままライブハウスに向かってた。 まだ準備中だったけれど、さっさと中に入ってすぐに奏多さんを見つけた。 「奏多さん、受かりました!」 俺の報告に、一瞬目を見開いたかと思ったら、優しく微笑んだ。 「おめ・・・」 「おめでとう!!!!」 俺と奏多さんの間に割って入ってきたのは、なぜかマナトだった。 俺には奏多さんしか目に入ってなかったから、奏多さんの背後にマナトがいたなんて気づかなかった。 「なに、なに、どこの大学?」 俺にへばりついてくるマナトは、まるで興奮している小型犬のようだけど、今の俺は奏多さんと話をしたい。 呆れ気味にマナトを見ていたのは俺だけではなく、奏多さんも同様で、顔を見合わせて苦笑いしてしまった。 「K大ですよ。」 「なんだよ、うちの大学、受けなかったのかよ。」 そんながっかりした顔をされてもな・・・。 久しぶりに会ったマナトが、すっかり妖艶さを潜めているのが不思議だった。 でも、それはマナトのバンドメンバーの中の一人からの、俺への鋭い視線で見当がついた。 ・・・恋人ができたってことかな。 俺がこいつのターゲットになってなければいい話なので、少しだけ警戒する気持ちが薄らいだ。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!