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◇
寒ーみぃ、
ぅゎっ
『こんな店、有ったっけ……』
おもいっきりミントグリーンに塗っただけのその古い店舗は奥まった路地の一角に有って
異様な雰囲気と素通り出来ないその存在感に
ジャケットのポケットに両手をつっこんだまま、思わず立ち止まった。
これ……さ、
古着屋…なのか?
雑貨屋…なのか?
いや、
今時の古道具屋…?
何にしても触らぬ神にたたりなし…
だって店の名前だぜ?
最後の☆がキランって光ってるのが何かむかつく(笑)
ドアん所に汚い手書きの字で書いた紙がピランとなびいてんだけどさ、
“愛、バンバン売っちゃうよ♪”
ってさ、何の事だよ、
つうか、何の店なんだよ、
そもそも“愛”って…
んな…“バンバン”金で買えちゃうもんなのかよ、
謎すぎる店に思わず笑ったらまだ冷たい空気に白い息がふわりと消えた。
寒っ
『オッケ、見なかった事にしよ、』
怪しげなその店にまるめた背中をぐるっと向けて帰ろうとした瞬間、店舗のドアがガタガタとデカい音を立ててから派手にピシャンと開いた。
判「いらっしゃいませっ♪」
空「 ! 」うわっ、びっくりしたー
判「お兄さん、何かお探しのご様子、」
空「…」探してねぇわ。
判「聞こえないふりしたってバレバレだよ?」
空「…、」ヤバイ香りがするからね。
判「ほら、買わなくてもさ、見てくだけでもいいのになー、」
空「、…」やだよ。
判「見なきゃソンって言葉、知らない?」
空「……」見ても時間のソンなんだよ。
判「ずっと探してたもん、置いてあるかもしんないじゃん?」
しつこい。
そしてうるさい。うるさすぎる。
今時そんな強引に“寄ってけ”なんてわめき散らす呼び込みなんてそう居ない。
どんな顔した店員なんだと、
一体どんなさ、しつこいイヤツなんだろうと
そいつの顔を見たくなっちゃった俺は
ザリッと靴を鳴らして振り返った。
ポケットに入ったままの手に少しだけ力を入れて・・・
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