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「…なら制裁は?」
「命令を遂行するために会長の親衛隊を利用させてもらっただけだよ。馬鹿みたいに僕の言うこと信じて……今頃こんなはずじゃなかったって泣いてるんじゃない?」
ウットリと?を緩める八坂。
それとは反対に俺は背筋が凍りつく感覚というのを味わった。
「…まさか」
八坂の話をそのまま受け取るならば、彼はある人物の命令によって朝比奈を潰そうとしていたのだ。
つまり黒幕は別にいる。
この事件はまだ終わっていないのだ。
「まあ精々足掻けばいいよ。まあその前にここから無事に出られたらいいけどね」
「おいっ!!」
「僕から連絡がつかなくなったらここを囲うように言ってある。お前にあと何十人も相手にする体力はある?」
ようやく動いた足を一歩踏み出し、俺は八坂の胸倉を掴み上げる。
しかしそれにも関わらず、彼はその顔に貼り付けた笑みを剥がそうとしない。
「ーーねぇ」
今度は扉が壊れて開きっぱなしの入り口から誰かが足を踏み入れる気配がする。
後ろを振り向けば、そこには?に返り血を浴び獰猛な獣のような視線を向ける彼の姿があった。
「これは…君達の仲間…?」
狂犬の手から一人の男が落とされる。
次の瞬間には俺の目の前に拳が振り下ろされていた。
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