保護された透明人間

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「それにしても上手く行くのでしょうか」 「上手く行くさ。彼を発見したのは運が良かった」 宇宙人達は全てクローンであった。 クローン故に、自爆もいとわぬ攻撃を仕掛ける彼等は無敵であり、彼等を作り上げた種族を手始めに多くの生命体を滅ぼし続け、気付いた時にはこの広い宇宙の大型動物はことごとく殺し尽くしてしまった後であったのだ。 「大型生命体は、データすらなくして途方に暮れたがな」 「これで少しは多様性を得られますね」 宇宙船のモニターに映し出される地球人は、幸せと安心にゆるみきった顔で、チェーの赤い皮をむき紫の果肉を頬張る。 「しかし、疑う知能すらない彼を騙すのは気が引けます」 「良いじゃないか。最後に幸せな夢を見たまま、彼だけは寿命を迎えさせてやろう」 既に百を超える惑星に、捕獲した地球人からクローニングした個体を各々置いている。 いずれはその数も増えるだろう。 そうなればペットにも食糧用の家畜にも出来る。 「まあ、祈ろうじゃないか」 モニターに視線を移し直し、幸せそうな男女のペアを眺めながら残る言葉を吐く。 「彼女が彼の為にも、健康な卵を沢山産む事を」
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