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「うー、これって筋肉痛になっちゃう？」
「帰ってマッサージでもしてやろうか？」
「本当？ って、ヒロ君、マッサージまでできるの？」
「それなりに」
こんな会話にみんな耳がダンボだ。
「満足したか？ それなら」
「ヒロ君はしないの？」
「今日はお前のトレーナー」
「えぇ！？ なんか勿体なくない？」
「なくない。ほら、帰るなら」
「ジムといえばやっぱりランニングマシーンだよね？」
「聞いたことないな」
「これなら一緒に走れるでしょ？」
「……」
これを世の中では『あざと可愛い』というのだろう。けれど彼女の思考に『あざとさ』などはなく、これが素だからたちが悪い。
「ね、これ、ヒロ君の、より、遅くない？」
「それでいいの」
「そ、かな？」
「そ」
結局、彼女の望み通り走ってしまう。その姿に笑いをこらえていた奈美の苦労を二人は知らない。
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