王子殿下の想い

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はぁー、緊張してきた。 ドキドキと早鐘を打つ胸をそっと押さえる。 いったい、どんな顔をして会えばいいんだろう? そもそも今、僕はどんな顔をしているんだろう? 彼女に変な顔をしていると思われる事だけは避けたい。 「そんなに心配なさらなくても大丈夫ですわ。いつも通りでいらっしゃる方が妃殿下も安心いたしますよ」 よほど不安そうな顔をしていたのか、僕を妃殿下のもとへ案内している女官がそう言って微笑む。 いつも通りにすること。 それが一番難しい。 だって、今夜は結婚10年目にしてようやく迎える初夜なのだから。
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