エピローグ――――「赤い髪の、あたしの……」

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「あ……そうだ!」  良いことを思いついた。 「お前さ……犬、引き取ってくんない?」 「犬……ですか?」 「ああ、柴の子犬なんだけど。そこのダンボール箱の中にいるやつ」  十香が手で示すと、薔薇乃は立ち上がって見に行く。ダンボール箱を上から覗いて、薔薇乃は声を上げた。 「まぁ……まぁ、まぁ! なんと愛らしい……!」  薔薇乃は子どものように目を輝かせる。 「公園に捨てられてたのを拾っちまったんだけどさ。引き取り手がいなくて困ってたんだ。捨て犬の保護団体なんてのもあるらしいけど、知ってるやつが引き取ってくれるならそれが一番いいからさ。……で、どうよ? お前んとこなら、犬の一匹くらい飼えんだろ?」 「もちろん、引き取らせていただきますとも!」  快諾を得た。やった! 「サンキュー! じゃ、それがあたしからのお願いってことで」 「了承しました。責任を持って、飼わせていただきます」  薔薇乃は美夜子のほうを向いて、 「……それでは、志野さんのほうはいかがいたしましょう?」 「んー……」美夜子は悩んで言う。「お金はべつに欲しくないし、頼みたいことも今は思いつかないなぁ」 「それでしたら、ひとまず保留ということにしておきましょうか。なにか思いついたら、遠慮なくわたくしにお申し付けを」 「うん、じゃーそういうことにしときます」  美夜子はいったい、薔薇乃に何をお願いすることになるのだろうか。気になる。
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