正直姫

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そんなことは、誰もが分かっていました。 分かっていたけれども、誰も口にはしません。 だって、そこには、国を護らんと戦う兵士達がいたから。 味方すらも巻き込むことを、誰も提案しませんでした。 けれども、正直姫は提案しました。 誰もが驚いた顔をするなか、正直姫はもう一度言いました。 「聞こえなかったの?橋を落とすのです」 ここで、ようやく家臣の一人が口を開きます。 「姫様。しかし、橋の上には我が軍が残存してますぞ」 主に対する口応え。 もはや、覚悟は出来ている。 しかし、正直姫の返事は予想とは違うもの。 「なにか、問題でも?兵士ならば、国のために命を棄てる覚悟を持っているはず。 今が、その時です。 それとも、他に妙案でも?」
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