2人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
『お仕事、頑張ってね』
『早く帰ってきてね』
子供たちのメッセージを聞き終えたとき、ノックしてちょうどルカが入室してきた。
「先輩、夕飯食べに行きませんか?」
「ああ、そうだな」
携帯型のタブレットの画面を消すと、ルカがニヤリと笑った。
「シェリルさんからですか?」
「いや、子供たちから」
「早く帰りたくなったんじゃないですか?」
「…まぁな」
少しだけ寂しそうに微笑みながら返すと、ルカが何度も頷く。
「そうですよね、僕もさっさと帰りたいですもん」
「明日までの辛抱だな」
「はい。ですから、明日はお手柔らかにお願いします」
「それとこれとは話が別だろ」
アルトが言い切ると、ルカがやっぱりダメかと肩を落とした。
グリーフィングで激しい責め立てをするので、そのための部下たちの飛行データの量等が膨大なのだ。
他船団の新統合軍やSMSに指導を仰ぎたいと呼ばれるようになって、早何年経ったのかも分からなくなってきていた。
アグレッサーの地位も向上し、忙しい毎日を送っている。
相変わらずシェリルも精力的に活動していて、多忙の中でも二人とも出来るだけ早く自宅には帰るようにしてはいるものの、すれ違いの生活になりつつある。
子供たちに寂しい思いをさせているなと思っているが、意外にSMSのクルーたちが何かと気にかけてくれていて、両親が居なくても平気だと言う。
最初のコメントを投稿しよう!