プロローグ

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   私設秘書とは形ばかりで、実際のところ織辺は能見が子飼いにしていた男。能見の裏の活動において、都合よく使っていたのがこの男である。  能見の裏の顔。  県議としての活動費や国政出馬の為の資金など、提供させると言えば聞こえがいい。だが織辺を使い、脅迫や恐喝まがいの事を行い調達していた。  マネーロンダリングや地上げ、詐欺まがいの投資話なども織辺は能見の指示通りに動いた。  その織辺が、警察に身柄を拘束される。  能見としては、何者かに脅されているという織辺を一ヶ月ほど前に手元から遠ざけておいた。織辺とて、何かあっても簡単に能見の名を出したりしない。  ただ、葉北建設の山田社長の殺人事件で、警察が織辺に目をつけてしまった。これに関しても、知り合いの警察関係者に根回しをしておいた。  だから能見には、警察の手が及ぶ事は無い筈だったのだ。 「それが、何でこんな事になった……」
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