第1章

2/2
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
(今日、私は卒業する) (3年間登校したこの学校から) (皆と過ごした幸せな時間は終わってしまった) 私の頬に透明な滴が付く。 1人、1人、教室からいなくなっていく。 ゆらゆら、ゆらゆら、ゆらゆら。 いくつかの影は揺れながら、時間を過ごしている。 ゆらゆら、ゆらゆら、ゆらゆら。 段々と影は居無くなっていく。光は、私しか照らさない。 (おかしいな) 私は異常に時の流れが速いことに気付いた。 ゆらゆら、ゆらゆら、ゆらゆらり。 夕日が黒板を照らし、真っ赤に私達の最期の思い出を覆う。 (寂しいな、皆と離れ離れは) ガランとした、妙に空白感のある教室。 (やっぱり、少し辛いな・・・) 親友も、恋人も、先生も、皆で飼っていたハムスターも。 (でも、仕方ないよね・・・皆ウソツキだから) 壇上で、私は頬を拭った。 暗くなるまで、紅いクラスを眺め続ける為に。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!