悪夢の始まり

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───何だこれは? 顰(しか)めていた顔が、更に額に皺が寄る。 イタズラにしては手が込んでいた。 ……何故俺の名を知って、ここに住んでいることを知っているんだ? 日本に帰って来てまだ間もない。 ここに俺が住んでいることを知っている者は、数える程しかいない。 ──誰だ? もう一度封筒と便箋(びんせん)を見る。 パソコンで打たれたであろう、機械の文字。 間違いない俺の名前。 抱いた嫌悪がぞわりと、色濃くなる。 「──ピー……!」 やかんの中の水が沸き、音を鳴らした時だった。 ───バチン。 ブレーカーの落ちる音がした瞬間。 部屋の中は暗闇に包まれた。
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