Act.10

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そして彼はすぐさまその瞳を正面へと逸らすと、無言を貫く。 その様子だけで私はとてつもない勘違いをしていたということを悟った。 彼はきっと理不尽なことを言って来た佐俣さんにこみ上げた怒りを抑える事が出来なかったに違いない。 だから彼女を荷台に押し付けて、売り言葉に買い言葉で泣かせると言ったのかもしれない。 俯きながら私はさっきまでの自分を恥じた。 不動大和という人に短期間で何故ここまで惹かれたのかを思い起こしてみれば答えはたったひとつだったのに。 どうして彼を真っ先に疑ってしまったんだろう。
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