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「とりあえず、仲直りはできたみたいだね」
「うん。でも、急に優しくなり過ぎて、変な感じだよ」
「美月は心配性だねえ。冷たくされても、優しくされても不安で仕方ない。それってやっぱり、チーフと一緒にいても気が休まらないってことなんじゃない?」
芽衣子は何が言いたいのだろう。所々に、チクチクとトゲが刺さっているみたいだ。
「チーフとなにかあったの?」と芽衣子に訊ねてみたけれど、曖昧にはぐらかされただけだった。
「それより宏人がね、何か欲しいものはないかって。お見舞いに何を持っていったらいいだろうって悩んでたよ」
「何もいらないわよ」
「そんなこと言わないで、この際だから、うんと高価なものねだっちゃえばいいじゃん。アクセサリーとか、洋服とか」
「それってお見舞いじゃないでしょ」
「そう? 私なら買ってもらっちゃうけどなあ」
芽衣子はずるい笑みを浮かべる。
「宏人に買ってもらう理由もないでしょ。恋人同士じゃあるまいし」
「でも、友達以上であることは確かでしょ」
「そんなことないよ。宏人とは、ただの友達だよ」
「美月が気付いていないだけかもよ。もしかしたらチーフよりも、宏人のことが好きだったりしてね」
「馬鹿なこと言わないでよ」
「覚えてないの?」
「何を?」
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