13人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
草むらの上に倒れていた俺は、顔をしかめながら目を開けた。
辺りは真っ暗で、静まり返っている。
頭を手で押さえ、ゆっくりと上半身を起こした。
「どこだ、ここ……」
辺りには何もなく、ただ風の吹く音だけが聞こえている。
「大丈夫ですか?」
突然の声に、体がビクッと反応した。
視線の先には、黒のジャージ姿の30代と思われる男性が立っていた。
口元に大きなほくろのあるその男性は、ただ俺を見下ろしている。
「誰ですか?」
「私は久保と言います」
久保と名乗ったその男性は、俺に近づき言った。
「私が付き添いますから、自首しましょう。罪はきちんと償った方がいい」
「自首? 罪? 一体何の話ですか」
「……もしかしてあなた、何も覚えてないんですか?」
男性は怪訝そうに眉をひそめた後、「それ……」と、ある物を指さした。
最初のコメントを投稿しよう!