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似せたくて。
近未来、20XX年。
妊婦のからだに特殊な薬を注射することで、産まれてくる子供の容姿・体格などを、胎児のうちに、調整できる時代になった。
そして、その技術は『DNA調整』と呼ばれた。
たとえば、鼻を高くしたり
両親は産まれながらにして視力が悪かったから、視力を良くしたり
二重まぶたにしたり
爪の形を綺麗にしたり。
注射ひとつで、からだのパーツを親好みに、自由自在に調整することが可能になった。
男の子だと分かれば、なるべく美男にしたい母親や、女の子だと分かれば、なるべく可愛い顔にしたい父親もいた。
自分好みの容姿の人間を、胎児のうちに『調整』することは、この世代のブームになりつつあった。
だが、その技術の進歩の裏側で、新たな『問題』も同時に抱えていた。
画期的な技術の進歩には、同時にリスクも生じるものなのだ。
とあるマンションに住む主婦・麻里子も、自分の息子に『DNA調整』をした一人の母親だった。
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