似せたくて。

1/6
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ

似せたくて。

近未来、20XX年。 妊婦のからだに特殊な薬を注射することで、産まれてくる子供の容姿・体格などを、胎児のうちに、調整できる時代になった。 そして、その技術は『DNA調整』と呼ばれた。 たとえば、鼻を高くしたり 両親は産まれながらにして視力が悪かったから、視力を良くしたり 二重まぶたにしたり 爪の形を綺麗にしたり。 注射ひとつで、からだのパーツを親好みに、自由自在に調整することが可能になった。 男の子だと分かれば、なるべく美男にしたい母親や、女の子だと分かれば、なるべく可愛い顔にしたい父親もいた。 自分好みの容姿の人間を、胎児のうちに『調整』することは、この世代のブームになりつつあった。 だが、その技術の進歩の裏側で、新たな『問題』も同時に抱えていた。 画期的な技術の進歩には、同時にリスクも生じるものなのだ。 とあるマンションに住む主婦・麻里子も、自分の息子に『DNA調整』をした一人の母親だった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!