特別話 ∞ 綺良綺良と、澪は煌めいて。

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取り急ぎ、ねえ、あんな紳士な護衛ウチにいたっけ。 「さすが冴島の護衛ね。転びそうになったらすぐ手を差し伸べてくれるなんて──」 「護衛じゃねえよ」 「うん?」 ゴミクズのようにそう吐き捨てると、すぐさま綺良は当主の表情(かお)を纏う。そして立ちん坊になっていた護衛どもに苛々を撒き散らしたのだ。 「おい!!何をしている。ウチの護衛の目は節穴か、余所者を容易く澪に近づけるなとあれほど、」 「「も申し訳御座いません!!」」 嘘でしょう。余所者が、このワラワラ護衛軍のなか違和感なく入ってきたというの。 驚いている私の傍ら、あなたは護衛どもの顔すらまともに見ていないようだった。ただ顎を下げ、ギリギリと音が聞こえそうなほど拳を握り締めていた。 「……一番近くに居たのは俺だな。澪、悪かった」 ああは言っていても、護衛より誰より自分を責めているに違いなかった。あなたはそういうひとだ。 「ううん悪いも何も、何も無かっ、」 「石橋新(あらた)──あの石橋宗家の新当主が何の用だよ……」 「?いしば、」 「おまえは覚えなくていい、三歩歩いたら忘れてくれ」 「わ、わかった努力します」 石橋宗家、削除、石橋新、抹消……ふうん今のがあの石橋宗家の新当主石橋新ねーえ。
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