古都

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桜が枚散る夜の公園で、二年付き合っていた彼に別れを告げられた。 元からいつ別れてもおかしくない相手ではあったのだ。 でも、こうしてみるとなんとも悲しい話では無いか!? 「ああもううるさいな。わかったわかった!とにかくさ、旅行行こ!」 なん十回と繰り返された私の失恋話に飽き飽きした彼女が叫ぶ。 「だってさ、あんなにあっさり別れると思わないじゃん!」 オイオイ泣く私を軽蔑しきった目で見つめる。 「だからさ、傷心旅行行こ。ほら見て岐阜とか京都とかいくない?」 言うが早いかどこからともなく旅行雑誌を出してきた。 要は失恋にかこつけて旅行に行きたいだけだ。 しかもなぜ古都ばかり!? 「え、だって失恋といえば京都じゃん?お寺見て、歴史に触れて、自分のちっぽけさに気づくのさ」 「そういうお前は何様じゃ。」 私をよそに彼女は勝手に仕切り勝手に決めてきた。 そして桜が散りきった頃私たちは京都を訪れた。
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