古都

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古都じゃ京都じゃと盛上る彼女をよそに私はイマイチ楽しめない。 どこに行っても何を見ていてもボンヤリとしていて今しがた何をしたかさえ覚えてない。 「もーあんたね、あんな男のことなんてさっさと忘れなよ!まだ二十歳だよ!新しい恋しないと!」 彼女はそう言うがそう簡単に割りきれたら失恋ソングなんて出来ねえんだよ。 「呑んで食えばいつか忘れるって!」 ワタシの背をバンバン叩きながら麦酒を煽る彼女は多分自分が呑みたいだけだ。 沈む私は引きずられるように御所に連れていかれる。 いちおう慰めてるつもりらしい。 「平安時代はさ、不倫なんて言葉無くて、気に入ったら奥さんになれたのにね。」 池を見ながら彼女がポツリと言う。 その言葉に私は初めて顔を上げた。
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