*:。 日和 ・゚:*:・'°☆

1/3
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ

*:。 日和 ・゚:*:・'°☆

冬はもう過ぎたようだけど 昔からの無理がたたったのか 寒さで 足が痛むらしく おばあさんは毎日のように 自分の足をさすっていた つい何日か前まで 寒い寒いと言っていた おじいさんと おばあさんだが 今日は久しぶりに  暖かい陽射しが注ぐ縁側で並び ゆったりと お茶を飲んでいる 空を見上げ 『今日は随分と 暖かいねぇ……  もうすぐ もっと暖かくなって  本当に春らしくなるんだろねぇ  あっ どこかの梅の香りがする……』 飲んでいた湯飲みを膝にのせ おばあさんが目を閉じ ほわりと呟いた 隣で猫のマロは 髭を揺らし  尻尾を何度か 軽く振ると 耳を震わせ 大あくび “どうせ 誰も聞いちゃいないわね” 暫くの沈黙にがっかりしたのか  おばあさんは口には出さず  黙って長い息を吐く 少し寂しそうなおばあさんに気づき マロが“にゃ~”と おばあさんの顔を見た  
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!