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「私もお昼休憩いただきます」
ペコリと頭を下げた大森聡子に声をかけた。
「ごめん、大森さんが前半のお昼だって知らなくて、休憩を邪魔しちゃったね。お詫びに夕飯でも」
そこまで言って、思い出した。
台湾ラーメン食べ納め事件。
「休憩コーナーのコーヒーでもご馳走しようか?」
「お気遣いは無用です」
両手を顔の前で左右に振って、同じように首まで振り子のように振って、玩具のような動きだった。
その身を翻して軽やかに歩き出した大森聡子の服の裾が揺れている。
大森聡子がIDカードで管理された督促課から出ていくところまで見守ってしまった。
どことなく、頬のラインが細くなった気がしたけれども気のせいか?
それとも、ダイエット宣言をして本当にダイエットをしているのか?
大森聡子はダイエットが成功したら、結婚相手を見つけるのか?
だいたい、大森聡子は恋愛をするのか?
今までさんざん台湾ラーメンだ味噌カツ定食だと夕飯を共にしながら、仕事以外のことをあまり話さず、こっちの話ばかりを気持ちよく聞いてくれていたことに思い至った。
大森聡子のプライベートってどんなんだ?
どうして自分がこんな風に大森聡子を気にしないといけないんだ!
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