在りし日の影

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 揺れる車内の中から、流れる景色。京浜急行を品川駅から乗り込んだ私は、横浜駅まで向かう。その道すがら、一度羽田空港を目指す。羽田空港で、人と落ち合って横浜まで向かうのだ。  落ち合う相手は、早瀬 皐月さんという。いや、旧姓が早瀬、だった。今は……阪本という姓だったか。会うのは、50年……60年弱ぶりだろう。  皐月さんは、私の2歳下で、あの当時、私達のマドンナだった。それから60年近い月日が流れて再び会う事になろうとは、人生とはこの齢(ヨワイ)になっても解らないものだ。  あれから、私も変わり……そして皐月さんも変わっているだろう。
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