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「なっ、なるほど……」
泉流は青ざめながら片手で頭を抑える。
(もしかして……もしかすると……長月瑛は………オネェなのか!?)
そう考えると、頭がズキズキと痛くなってきた。
(もしそうなら、あの女みたいな顔も、男の真田が好きだと言うのも、全て納得がいく……。だがそれでは……)
長月瑛に似たような人間をもう一人知っている。
女であるにも関わらず、男よりもかっこよくなろうと目指し、好きな人は異姓ではなく女の子。
(私か……?私に似ているのか……!?私の男バージョンだとでもいうのか!?)
冷や汗がだらだらと流れ出る。
「泉流様!?」と心配する女子達の傍らで、泉流は「よし!」と腹をくくった。
「悪いが、ここで失礼するよ。これから大事な用があってね。それじゃあ……!」
「あーん、泉流様ー!」
彼女達の残念がる声を背に、泉流はもと来た廊下を引き返した。
(これは自分の目で見て確かめる必要がある……!待っていろ、長月瑛!)
心の中でそう叫ぶと、泉流は廊下を駆け抜けて教室へと戻った。
自分の鞄から部活用のタオルを引っ張りだし、それを頭に被ってくくりつける。
そして最後にマスクと勉強用の眼鏡を装着すると、また教室から飛び出した。
クラスメイトが引いていたが、気にしなかった。
(よし、これで取り巻きの女の子達には泉流だとバレないだろう。さぁ、待っていろ長月瑛……!)
今度はこそこそと廊下を歩く。
壁際にべったりと引っ付いて歩く姿は、ふざけた変人この上ないが、泉流本人はいたって真剣で真面目だ。
(よし、完璧だ…!このまま7組まで行くぞ……!)
カサカサと虫のように7組の教室まで辿り着く。
そっと扉に近付き、教室の中を覗き込んだ。
(どこだ?長月瑛……)
まだ休憩時間が続いているせいか、教室の中は賑やかだった。
1組の泉流にとっては7組の生徒とはほぼ縁がなく、見渡しても見知った顔はない。
雰囲気は自分のクラスと至って変わらないが、違う学校に来たようで少し緊張した。
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