容疑者探し。

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「じゃあさ鰐渕、一応念の為にそのコンビニ行って防犯カメラ確認しといてくれよ」 「あぁ、わかった」 三人はそう言って美術館から出てくると、鰐渕は早速例のコンビニへ向かい、その一方で大神は、何やらポケットの中でゴソゴソしていた。 「あっ!」 「さて、俺は他の可能性を当たってみるか」 実は大神は、密かに成瀬の予定帳を鰐渕からくすねており、それを頼りに他の怪しい人物と会うつもりだった。 奈津美は咄嗟に大神を咎めようとするが、それを遮るように大神は先に口を開く。 「見ての通り、あの男は少しいい加減でズボラな所がある。少しでも友達の彼氏の手掛かりが欲しかったんだろーが、もう少しだけ待ってろ」 「え…気付いてたの?」 「こっちもそっちもさっさと片付けるぞ」 「う、うん!」 その時奈津美は、大神が何よりも頼り甲斐があると感じたのは言うまでもなかった。 大神が最初に向かったのは、"神奈川輝彦(38)"という男がいる事務所だった。 「この人は?」 「被害者の成瀬が殺された日の午前中に会ってた男だ」 この神奈川という男は、予定帳によればここ数ヶ月の間に何度も顔を合わせているようで、有力な情報が得られそうだと期待もあった。 しかし、いざその男がいる事務所に来ても、アポも無く直接会う事は許されなかった為、仕方なくその場にいた関係者に軽く話を聞いてみる事にした。
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