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「ちょっと淳ー!そこしっかり抑えてー!」
「抑えてるっての!もうここで良いか!」
「なーんか配置がいまいちなのよねー」
「てめぇ!棒読みじゃねーか!」
これは……ああ、文化祭か。
教室のドア付近で騒いでるのは俺、相沢淳と俺の幼馴染みの伊藤あかりだ。
博物館と喫茶店を混ぜてるんだっけか。
発泡スチロールで作った恐竜の化石っぽいものが天井から吊るされている。
懐かしい……この化石、塗装にミスったけど形はなかなかの出来だったな。
なんとなく気づいているかもしれないが、これは夢だ。
俺が俺の過去を夢に見ているんだな。
「ったく、指示してるあかりは楽かもしんねーけど俺は結構疲れるんだぜ?」
「なんと!私がサボってるとでも言うのかね!」
「うっせ、今は合わせるのだりーわ」
「痛い!」
俺があかりにチョップするとあかりは大袈裟に頭を抑える。
ムスッとしながら俺のことを睨みつけているが、小動物が抵抗しているようで怖くはない。
むしろ可愛い……この頃の俺はそんなこと思ってなかったが。
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