9(承前)

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「もう天童少尉はめんどくさいな。ジャクヤでいいか」 「了解や、ぼくもタツオでええな」 「うん。ジャクヤはこの訓練どう思う?」 「どうもこうも圧力鍋みたいなもんちゃうかな。ぎりぎりまで追いこんだとき、候補生たちがどんな反応を示すか。弱いやつ、壊れるやつはいないか。一種のパニックテストみたいなもんやと思うよ」 「なるほど。同意見だ」  近くで見ると、ジャクヤの目はジョージの目によく似ていた。ひどく孤独を感じさせるのだ。ジャクヤは銀を練りこんだ漆黒(しっこく)、ジョージはレモンを垂らした紅茶のような明るい茶色で、瞳の色はまったく似ていないけれど。ジャクヤはいった。 「今回の訓練の目標はみっつ。タツオならわかるやろ」 「ひとつは時間を稼ぐこと。もうひとつは敵への損害を最大限にすること。あとひとつはなんだろう、ちょっとわからない」
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