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相手の話は終わったのか私は動こうとしたが何故か体に力が入らなかった。
「……お前気付いてないのか?」
相手が不思議そうに尋ねてきたが、私には何の事が理解出来ずにいた。
「……はぁ、本当に気付いてないようだな。お前、血を流し過ぎだ。死ぬぞ?」
私は相手が言ってきた意味が分からなかったが、自身の体を確認すると、洋服が真っ赤に染まっていた。
「先程の戦いで受けた傷が開いてきたんだ……もう棄権しな、殺す気まではないから」
相手はそう言ってくるが私は棄権する気なんか起きなかった。
「ハハハ!なら最後に『今の私』の本気を見せてやる!」
私は地面に組み伏せられた状態から最後の力を振り絞り無理矢理抜け出して相手の首裏に蹴りを放った。
相手は屈んで躱したが、そのまま私は踵落としをして相手の頭に当たった。その衝撃で相手は地面に叩きつけられたがすぐさま私に蹴りを放ってきた。
私はそれを受けて倒れたが、すぐさま相手の背後を取り右の正拳突きから左フック、そして相手の後頭部を両腕で掴み私の膝に相手の顔面を叩きつけた。
相手は踏ん張ったが少し蹌踉めいて片膝を地面につけた。
しかし私も怪我をしていて、尚且つ血を流し過ぎた状態でそれだけ動いたので私も体に限界が来てうつ伏せに倒れてしまった。
「ハハッ……流石にもう立てないな……どうだ?これが『今の私』の全力だ」
相手は既に立っていて私を上から見下ろしていた。
「さっきの連携は流石に驚いた……そんな小さな体にどんだけ力あるんだ?ここまでされたのは久しぶりで、この戦いは楽しかった」
相手は微笑みながら私に手を差し伸べてきたが、私はもう指一本動かす力すらなかったので口で応えた。
「楽しめたなら良かった……悪いが指一本すら動かせない……冬夜!私は棄権する」
私が冬夜にそう言うと冬夜は会場中央に行き優勝宣言をした。
「格闘技大会決勝戦勝者レン・ミラコス。よって、優勝はレン・ミラコス!」
冬夜が大きな声で力強く宣言すると会場は拍手と歓声に包まれた。
私はその中、意識を失った。
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