リンの過去

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****** 「これが私の過去だ……格闘技大会以来、真冬とはぎこちない関係になって私は強さを求めるだけになり今に至るわけだ」 リンが話を終えると俺はリンにいくつか質問する事にした。 「リン、いくつか質問してもいいか?」 「あぁ、私が答えられる範囲だったらいいぞ」 「分かった。一つ目はリンが神崎家の『捨て駒』ってどういう事だ?」 「それは、元々昔から神崎家の配下にはシュヴァルツァー家が居てだな、命令が下されれば何でもしなければいけなかったんだ。私はまだ幼かったから命令を下される事はなかったが、処刑・拷問・人質等嫌な事柄は全てシュヴァルツァー家に命令されてきて、時には神崎家を守護するために数百人相手に一人で挑まされ、死んでいった人がいたから『捨て駒』って事なんだ」 リンは俺の質問に対し少し表情を暗くしながら答えた。 「そうか……それでは二つ目。リンは風神の力を少し使えるみたいな事を前に言ってたが、今の話を聞いているとリン自身が風神になったように思ったんだが?」 「それは正解だ。私が生まれた時に中に風神を封印したらしくて、始動キーである『力ある詩』を口に出すか思うと私の中にいる風神……まぁ言い換えれば別人格みたいなものだが、それが現れるんだ」 「なるほどな。それで最後……これは質問じゃないが、レン・ミラコスに勝てなかったのは当たり前だぞ」 俺がリン自身が昔負けたレン・ミラコスの名前を出すとリンは逆に質問してきた。 「どういう意味だ?」 「二つ名の意味は習っただろ?」 「あぁ、確か凄い武勲や功績を与えられた人につけられる通り名……だったか」 「そうだ。例えば王香だったら『漆黒の王』って言う二つ名がある。これは公式では知られてないがレン・ミラコスにも二つ名があるんだ」
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