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泡に覆われた私は、息をすることさえできず、ただ手を振り回して暴れていたが、別に何が起きるでもなく、とうとう諦めてしまった。
そのままぼんやり座っていると、急に闇が広がり、私はずぶずぶ沈んだ。
私は何かを言う暇さえなく、闇の中に降り立った。
そこで誰かから手を引かれて私は夢中になって走った。
汗がぽとぽと落ちる。
しかしその汗は落ちた直後闇にまぎれてしまう。
私はこのまま死んでしまうかと思ったが、いつの間にか、カフェにいる。
「起きましたか?」とその女の人は言った。
「急に眠ってしまうものですから」
「ああ、ああ」私はコーヒーを飲んだ。「おおかた君が眠らせたのだ」
「どういうこと?それはあんまり濡れ衣だ」女の人は笑った。
私はその人をチラと見た。
その人もまた私を見ていたので慌てて目を逸らした。
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