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「してません。可愛いとは思うけど」
私たちの言い争いは、夜景を見ていた席のご年配の夫婦からクスクスと笑われてしまっていて、恥ずかしくて逃げ出すように出口へ向かう。
「お嬢さん、うちの娘にも早く婚約者を連れて来るように言っておいてください」
そんな事を人生でも先輩である店長に言えるわけもないけど、曖昧に笑っておいた。
「あーあ。しまった。お酒飲んでしまった」
エレベーターのボタンを押しながら、苦々しく言うと頭を抱えている。
「わかばを送れない」
私は別に送って貰わなくても、まだ最終電車は残っているし、ホテルから駅までは明るいし問題はない。
「……それにまで気が回らないぐらい、焦って浮かれて、落ちつきが無かったんだろうね、俺は」
「……」
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