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シンとした部屋で私は昨夜の隼人の言葉を反芻する。
行ったり来たり……
激しく翻弄されながら揺れ続けていた隼人の心。
彼の人生を思えば一方的に責めることは出来ない。
けれど隼人が修斗を殺したと言う衝撃が私を苛んでいた。
赦す……赦さない………
わかる………わからない…………
「……修斗……修斗は隼人が憎い?」
修斗は姿を現さない。
何より殺された本人なのだから恨みが有るなら訴えて欲しい。
私が隼人を憎めるように悔しさを伝えて欲しかった。
途方にくれた私が隼人に傾きかけると修斗は怒ったようにポルターガイストを起こした。
まだ陸に対して疑惑を持っていた頃、修斗は陸を信じるなと訴えてきた。
それ以来、この間のパスワードのことでコンタクトしてくるまで何も無かった。メモリーが何処にあるかさえ伝えてはこなかった。
修斗が何を願っているのか分からない。
修斗でさえ、何が善で何が悪なのか見極められないと言うのだろうか………
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