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遅れて理解した周りの女子生徒は悲鳴を上げメイリンとリルはレオンの方に駆け寄っていった。
「おいおい。そんなものか?お前もあいつと同じて「何すんだよ、お前っ!」
俺は相手の言葉を聞かずに初級の身体強化をして相手を殴り飛ばした。
「なんだ、お前もこの程度か…遊びにもならないな。」
相手は1~2歩後退りしたが無傷でただそれだけ吐き捨てるように言った。
「どういう意味だよ。」
「そのままだ。」
耳元でそう聞こえた瞬間に腹部に鈍い痛みを感じてそのまま吹き飛ばされてしまった。
「ぐっ!」
壁に背中からぶつかり肺の中に入っていた空気が全て抜け出ていくような息苦しさに襲われて意識を手放しかけたがなんとか堪えた。
「まずはお前にするか。」
その声に少しぼやけている目を向けると右手を前に突き出した状態でさっきの生徒が動きを止めているのが見えた。
「セルアくんっ!逃げてっ!」
リルのそんな声が聞こえてきたが体に力が入ってくれない。
「じゃあな、庶民。」
「くっ…」
先程の使い魔召喚で魔力をほとんど使いきってしまっていたためもう初級魔法すら使うことが出来ず俺に出来たのは目を瞑る位だった。
だが一向に体に衝撃が訪れる事はなかった。
「どんな時でも目を背けちゃダメだよ、セルア。」
「えっ!?」
突然近くで聞こえたその声に驚いて目を開けるとそこにはあの真っ白な刀を降り下ろした状態で動きを止めているコーキが居た。
「大丈夫?セルア。」
「…うん。」
「そっか…セルア、どんな状況でも諦めたらそれで最後だよ。何か方法があっても諦めて目を背けてしまえばそこで終わりになってしまう。だからどんな状況になっても、どれだけ恐くても、目を背けちゃダメだ。」
「うん、分かった。ありがとう、コーキ。」
「うん、今はみんなのところに居て。」
コーキがそう言って俺の肩に触れると次の瞬間にはレオン達のところに転移させられていた。
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