終の章

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「どこから……来たの?このお姉さんと二人で?」 少女はレイラを見下ろし、声を震わせながら問い掛ける。 「いや、二階にもう一人仲間が居るよ。二階で発泡して来たのも……君達の兄弟か?」 「もしかして祐樹のヤツ……お兄さんの仲間……殺しちゃった?それとも……祐樹が殺されちゃったんじゃ……」 青ざめた顔で問いかけてくる少女。 「二宮さんは殺されたりなんかしないし、君の兄弟を殺したりなんかしない。 俺は藤崎サトル。大阪のシェルターから来た。まさか東京で君達みたいな子供に会えると思ってなかったから嬉しいよ」 サトルがそう告げながらスッと手を差し出すが、少女はその手を握ろうとしない。 「私達がここまで生き残れたのは……数ヵ月前までここに隠れていた人のおかげよ。その人たちが半年分くらいの食糧を置いて、バリケードを作ってくれたから……」 少女の言葉を聞いたサトルの脳裏に麻耶の姿が浮かぶ。
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