終の章

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「その人達は今……」 「悪い大人に襲われて……ほとんどが殺されちゃったんだ!僕もお姉ちゃんも……何も出来なかった……。何人か逃げれたみたいだけど、今どこに居るのかわからないんだ」 姉の代わりに、ボロボロに破れたズボンを握りながら悔しそうに呟く少年。 「その中に……耳の聞こえない女子高生は居なかったかい?俺の妹がこの病院に数ヵ月前まで居たはずなんだ」 サトルのその問い掛けに二人は目を見開き、声を揃えて「麻耶お姉ちゃん!」と叫んだ。 自分の心の中でしか響いて居なかった妹の名前が二人の口から発せられた事にサトルは驚きつつ、他に何か手がかりが無いか質問をしようとするが、先に二宮を迎えに行くことが先決だと呟き立ち上がる。
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