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──ふざけんなっ
心の中でもう何度目だかわからない悪態をついた柏木春海は、エレベーターの昇降ボタンを乱暴に押した。
「デキ婚とかバカじゃねぇの」
心に収まりきらない苛立ちが思わず口からこぼれてハッとするも、深夜に近いエントランスはほかにエレベーターを待つ者はなく、柏木の呟きは冷たい金属のドアにぶつかって消えた。
コンビニで買ったビールを持ち直すと、ビニール袋のカサカサとした音までもカンに障って苦笑する。
「バカじゃねぇの、俺も」
馴染みのバーで強めの酒を煽ってきたが、酔いは一向に訪れず、飲み直そうと大量に買った酒が重たい。
五階から下降してきたエレベーターが、明るく到着を知らせる音にまたも苛立ち、柏木は開いた扉に大股で乗り込もうとした。
「……っわ!」
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