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そこに考えが至ってはじめて、真琴は理沙が言った「仲間じゃないみたい」の意味を知る。
そうなると、理沙が先生に答えた〝ムカッと〟して〝ん?〟ってなって〝へぇ……〟ってなったカンジというのも単純じゃないな……。
どの段階を指してるのか判らない。
ハッキリしてるのは〝ほう?〟と思ってるのが今だってことだ。
皆が真琴の反応を待っているような空気の中、少し考えてから真琴は口を開く。
「まだよく解らないけど、相当数いる運営の中でも、島田くんは松下さんに、そして理沙は高山先生に共感してるってこと?」
「当たらずとも遠からず、じゃない?ナル夫が松下さんに共感してるのは間違いなさそうだし、私は高山先生を正義だと思うよ」
「共感……ってか、松下さんはこう、〝ハブられた運営〟みたいに思えたんだよな、俺には」
ハブられた運営……か。なるほどね。
松下さんは運営が生まれた理由を知りつつ、いろいろ明かされないで過ごしてきたんだ。……立場上のことを理由に。
「島田くんがその携帯電話持ってるってことは、私が白い携帯電話に変わってから協力者になったの?」
「……たしかそう。いつだったか憶えてないけど、急に距離が近くなったときがあったんだ」
急に距離が……ね。つまり松下さんが急に距離を詰めてきたんだろうな。
それで私……私はどうすればいい?
今、私はなにを考えればいいんだ?
運営の内の誰に与するかを決めなきゃなんないの?
たとえば……ミツキとか。
(誰に従うとか、そんなハナシじゃないよ真琴)
ミツキ……。ずっと黙ってたのにこのタイミングでそのセリフ……。
相変わらず空恐ろしいな。
「ミツキはそう言うけど、なかなか複雑な気分だよ、今」
(複雑だろうけど、真琴がするべきことをあえて言うなら〝知りうるかぎりのことを知る〟じゃないかな)
「ああ、なるほどね。そんなカンジだね。勝手にみんながタネ明かしするから、理解するので精一杯だし」
(だから今は〝理解する〟に専念してればいいんじゃない?なさそうで、実はあるんだし。時間は)
「……たしかにね。忙中閑ありっていうより、忙は終わったんだもんね」
(そうだね。で、もうひとつの文献の出番じゃないの?ナル夫くん)
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