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とりあえず…皆を風呂へ。
サラに後を任せ食堂へやってきた。
天界から取り寄せた時計を見れば…夜中の一時…。
軽い食べ物を作ろうとするとマナがやってきた。
「お、マナか」
【お兄様は何してるんですか?】
「サラの妹を救出しにいって更に何人か連れてきたんだ。出会った頃のマナのように痩せ細ってるからちょっとでも足しになるように軽い食事を作ろうと思って」
マナの眠たそうな目が開き腕まくりをしてキッチンに入ってきた。
【私もやります。】
「ありがとう」
頭を撫でると嬉しそうにしていた。
午前二時
風呂から上がってきた彼女達にサンドイッチを食べさせると、凄い勢いで無くなった。
ミレイはタオルで片目を隠していた。
酷いことをされ傷が癒えていないのかもしれない…
その他の少女はお風呂に入れた入浴剤の効能か…すり傷や痣などが無くなったらしい。
「サラ…ミレイの目は」
「…父のお酒を溢しただけで殴り飛ばされて、壊れた壁の…折れた板に…。私がこっそりあげていた薬をかけて一命を取り留めたらしいの…だけど…」
レイチェルが帝国兵に乱暴された時すぐに回復薬をかけなかった時と同じか。
傷は治るが…変形したままかけるとそのまま…
「目は見えるのか?」
サラは横に首を振った…
天を仰ぎ目を瞑る。
「癒しの女神…シュリン様…」
シュン
「わー、久しぶりのお呼び出しですね。私いつ呼び出されてもユウヒさんを満足させれるように、色々天使長と特訓して……あら?」
俺が呆れた顔をしているとシュリンはこの場の空気を察したようだ。
「まぁ俺は…俺の為に頑張っている奴にはそれなりに優しくはするが…。腕の見せ所だな、シュリン」
マナに空いている部屋に彼女達を連れて行って寝かせるようにお願いした。不安で眠れない者がいれば付き添ってあげるようにとも言って。
「ミレイ…顔をこのお姉さんに見せてくれるか」
サラはミレイの手を握り、ミレイは決心したのか頭のタオルを外す。
「あらぁ…これはけっこう時間が経っていますね…ふむふむ…」
シュリンは傷を触り診ていく。
ミレイの傷は酷いものだった。右目…おでこから右目の下にかけて穴が空いたような痕があり、周りもブクブクと膨れている。よく見ればまだ木片がついている。
「シュリン…なおせるか?」
「下界では無理ですね。天界でも完璧には治りません」
サラは両手を顔にあて泣いた。
「ごめんね…ミレイ…私が…私が…早く迎えに…」
「サラ姉のせいじゃないよ。それにあそこから連れ出してくれたじゃない。私はそれだけで嬉しいの。それに…あの時…死のうかとも考えた…けどサラ姉は約束を守るから…悲しませちゃいけないと思って生きてきたの!だから…泣かないで」
美しい姉妹愛だ…
「厳しいこと言うようだけど…貴女は天界に連れていけない…」
「もし天界に行けたらどれくらい治るんだ?」
「まず目の機能は回復しないですね。顔の形は治せます。うっすらと傷痕というか…新しい皮膚になるので、若干元の皮膚の色より白くなります」
「つまり目以外は治るか…」
「お兄ちゃん…お願い…ミレイ…を…お願い…お願いします…」
サラは泣き崩れるように床に座ると頭をつけ懇願した。
「…サラ姉…いいよ…これでも生活はできるし」
「…お願い…私の体を…切って…使ってもいいから…」
「んー、確かにそれでもある程度は補えるけど…サラさんの綺麗な顔は…」
「私はいいんです!ミレイの為ならこの命だって!」
「…サラ姉…」
手を強く握りしめ…床に頭をつけたまま…床に染みをつけるほど泣いた。
「シュリン…俺からもお願いだ。できるだけ直してほしい。もしできたら…一週間…シュリンの為に時間を作ろう」
「え?そんなご褒美貰えるんですか?」
「ああ。アシュレイにも何も言わせないし、他の者にもな」
「…ちょっと待ってくださいね…かなり燃えてきました!五分ください!イースと地球の医術を少し調べて見ます」
「頼む…シュリンだけが頼りなんだ…」
シュリンの耳元で囁きキスをした。
「っ…久しぶりのキス…。んっ…。ふぅ…ふぅ…こういうのを…一週間…」
シュリンはソファーに座ると、空中にディスプレイを開き超高速で文献を漁っていく。
俺でも目が追いつかない速さだ…
シュリンの手元も見えない…
サラの横に行き肩を抱く。
「サラ…なんとかなるかもな。もしシュリンに必要な物があれば俺は差し出すさ。あと…ミレイ…」
「は、はい…」
「世界一素敵で優しい姉がいてよかったな」
「はい!私の姉が大好きなサラ姉でよかったです。それに…サラ姉に…こんな優しい相手がいて…心から嬉しく思います」
「ありがとな。もうすぐ義理の妹だからサラのように兄さんと呼んでくれな」
「さ、さすがにそんな呼び方は…」
「え…駄目なの…俺…いじけていいかな…」
床を人差し指でいじりながら頭を垂れる。
「え⁉︎えー⁉︎」
「お兄ちゃん…ありがと…本当に…。一生…お兄ちゃんに…私を捧げる…」
「ふふ、あたりまえだ。なんせ俺が離さないからな」
「愛してる、お兄ちゃん」
サラは俺を抱きしめキスをしてきた。
「ちょ…サラ姉…見ている私が恥ずかしいよぉ…」
しばらくすると…
「ユウヒさん!見つけましたよー!」
シュリンが飛んできた為優しく受け止めた。
「流石、癒しの女神シュリン!もう可愛いなぁ」
抱きしめたまま頭を撫でた。
「へへへっ。この癒しが私の生きがいですからぁ…キスして欲しいです」
顔をゆっくり…シュリンの瞳を見つめたまま…キスをする。
「んっ…ぷはっ…濡れちゃいましたぁ…」
「今度…嫌というくらい相手してあげるから。それで、ミレイの傷を天界にも行かず治す方法は?」
「地球からある物を取り寄せます。でもこの世界に置いたらオーバーテクノロジー過ぎすぎてまずいので…ユウヒさんの通常の修行部屋で治療します」
「なるほど!流石だシュリン。ちょっと…惚れたかも…」
これだけ煽てれば…今後も役に立ってくれそうだ。
「っ…ユウヒさんが…私に…。私もっと役に立ちたいので早速行ってきます!」
シュン
行動が早くて好感がもてるな。実際…シュリンはまっすぐな性格、そして一生懸命なところが好きだ。アシュレイに相談してみるか…
「私…」
「どうしたミレイ?」
「あの女神様を信仰します。私の為にあんなに頑張ってくれるのです…なら私は少しでもあの女神様に…」
「ああ、シュリンも喜ぶよ。それより神様を初めて見たのに落ちついているんだな」
「驚いてますよ!でも…ユ…ユウ兄やサラ姉が普通にしてるから…」
「ミ、ミレイ…」
「は、はい…」
「もう一度…俺のこと呼んでくれるか…」
「…ユウ兄…」
「いい!実にいい!今後それで呼んでくれ」
「もうお兄ちゃん…ミレイの頬がひくついているよ…」
「はは、やっとサラの素敵な笑顔が見れたな」
「もうお兄ちゃんたら」
午前三時十分…
サラとミレイを部屋で寝かせ、俺は一階でコーヒーを飲みながらシュリンを待った。
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